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2月9日 メッセージより

2025/02/09(日)

2025年2月9日 労伝デイ講壇交換礼拝メッセージ「神の約束とは美しい調和である」より

いずみ教会・永富美加牧師

聖書 マタイによる福音書 20 1-15

 今日のたとえ話は、時のパレスチナのある時期によく起こったことを背景としています。パレスチナでは、ブドウが熟すのは9月で、すぐに雨期がやって来ます。雨期がやってくる前に、急いでぶどうを取り入れないと、ぶどうが腐ってしまいます。そこで一刻を争う収穫期には大勢の人手が必要とされ、時には一日1時間しか働けない人でも大歓迎されたそうです。賃金は1デナリオン(平均的な一日の労働代金に相当)。現代に換算すれば、1万円ほどです。

 今日の個所3節、6節で「なにもしないで広場に立っている」という表現があります。パレスチナでは、市場が労働市場になっていた。働きたいという人は、朝、道具をもって集まり、誰かが雇ってくれるのを待つのです。仕事を待っていても、声がかからなければ、ずっとその場に居続けなければならない。そのために、5時まで待っていた人もいたのです。現代版の労働市場の典型として、1990年代ごろから急激に増えだした非正規の働き手の方々がおられます。1990年代から日本の労働市場は大きく変化を遂げ、政府は規制緩和により、「労働者派遣法」を改正しました。特に新型コロナウィルス感染症が拡大した2020年では、「派遣切り」が横行しました。仕事をしたくても、ある日、突然、解雇を言い渡される。「誰も雇ってくれないのです」というブドウ園の労働者の人の声は、同時にこの時代を生きる悲痛な叫びと重なり合っていないでしょうか。

 13節では、1デナリオンの「約束」と記されてあります。「約束」という言葉は、原文にはありません。直訳すると、「主人は、一日につき1デナリオンで、労働者をブドウ園に送ることを承認した」。「承認した」という動詞には「シンフォニー」という意味が込められています。「シンフォニー」とは、オーケストラで演奏される大規模な楽曲を思い出しますね。オーケストラは、様々な楽器が音を奏でて、それぞれの音が調和をもって一つの曲として成り立っています。それが、美しいハーモ二―となって、私たちの心を揺り動かします。どの楽器もその楽器に応じた美しい旋律が奏でられています。「共に響きあう美しい調和」が確かに、一つの作品として存在しています。このことを、「約束」だと言っています。神様のもとでは、それぞれの人たちが「共に響きあう美しい調和」がある。マタイは、それを「天の国」と表現しているのです。神様は、どの人にも、それぞれ1デナリオンずつ渡したいのです。それが、神様の目から見て善であり、美しいことであると聖書は記しているのです。私たちも、「共に響きあう美しい調和」である「天に国」の建設のために、神様から呼びかけられているのではないでしょうか。

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