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8月30日 メッセージより

2020/08/31(月)

2020830 メッセージ「あなたの『おうち』はどこですか?」より

牛田 牧師

聖書 ヨハネによる福音書 8111

 今回は、「姦淫の女とイエス」という小見出しが付けられているお話でした。ここで「姦淫(不倫)」と言われていることの内容は分かりませんが、結婚以外での関係ですから、当時の律法では、たとえ性暴力の被害者であったとしても断罪されました。そのような中、この女性は連れて来られ、いつ石を投げつけられて殺されるかもしれないという恐怖におびえていました。しかし、イエス様はまるでそんな女性を無視しているかのようです。そもそも律法学者たちやファリサイ派の人々が、この女性を連れて来たのは、イエス様を訴える口実を得るためでした。それが分かっていたからこそ、イエス様は黙っていたのでしょう。しかし、彼らがしつこく問い続けるので、「罪を犯したことのない者が、まず、石を投げなさい」と言われました。その結果、女性を連れて来た人々は、一人残らずいなくなりました。それからイエス様は、身を起こして「あの人たちはどこにいるのか」と女性に問いかけられました。周りには誰もいないことが一目瞭然でしたが、イエス様の方から「私も罪に定めない」と一方的に語り掛けるのではなく、あえて質問することで、女性からも応答してもらい、そこにお互いのまなざしを向け合って対話する双方向のコミュニケーション、つながりが生まれました。

 このお話の元来の終わりは、イエス様の「行きなさい」という言葉だったと考えられます。この「行きなさい」という言葉は、「うちに帰りなさい」という意味でも、「(人生の旅路を)行く、生きる」という意味でも使われます。もちろん、この女性にはきっと帰ることのできる「おうち」、安心して休める「ホーム」はなかったでしょう。ですから、イエス様はこの女性に対して、「元いた場所に帰りなさい」と言ったのではなく、「あなたの人生を、生きられる所に行きなさい」と言われたのだと思います。「誰もあなたを断罪することはできません。私もあなたを裁く気はありません。さぁ、ここからあなたの人生を生きて行って下さい。今、あなたと私が『つながり』を感じたように、あなたの居場所『おうち』は、これからきっと見つかるでしょう」。イエス様の言葉と振る舞いが、この女性に新しい命と力を与えました。

 「あなたのおうちはどこですか?」 今、私たちの周りには「迷子の子ネコちゃん」や、断罪される恐怖におびえている人はいないでしょうか。私たち自身はどうでしょうか。「大丈夫、怖がらないで。あなたの人生を生きなさい。あなたのおうちは見つかります。作っていけます」。 私たちは今日も、共にいて下さる神様からの励ましと力を頂きながら、歩みを進めて行きます。

 

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