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2月14日 メッセージより

2021/02/19(金)
2021年2月14日 メッセージ「風が強いからこそ」より
水谷憲牧師
聖書 マタイによる福音書 14章22-33節

 3世紀ごろのローマ帝国。皇帝は死を恐れず戦わせるために、兵士たちに結婚を禁止していた。そんな中、キリスト教の司祭であったバレンティヌス(バレンタイン)は、若者たちを憐れみ、密かに結婚式を行っていたため、処刑されてしまった。2月14日は彼が処刑された日。聖バレンタインは、若者たちの愛のため、自身の信念のために権力に屈しなかった。本日は「バレンタインデー」であると同時に、「信教の自由を守る日」の礼拝でもある。
 さて今回のイエスが湖の上を歩くという話。イエスから舟に乗って漕ぎ出すように強いられた弟子たち。これは私たちの姿だ。私たちの人生は、すべてが自分の思うように運んできたわけではなかっただろう。逆風の中、弟子たちは自分たちが進んでいるのかどうかも分からなくなっていた。しかし、そこにキリストが来てくださった。この出来事は、はるか遠い国で、遠い昔にあった話ではなく、人生において様々な波や風雨などの逆境に襲われている私たちの所に、イエスが今まさに向かって下さっているのだということを象徴しているのだ。しかし、弟子たちは、水上を歩いて近づくイエスを幽霊だと勘違いし、恐怖のあまり叫び声を上げる。私たちは自分を取り巻く状況にいっぱいになってしまって心に余裕を持てないと、その状況の全体像どころか、自分の目の前にいる相手のことすら、ちゃんと見ることができなくなる。キリストはそんな私たちに「安心しなさい」と言われる。これは「しっかりしなさい」とも訳される。不安に取り乱す私たちに、キリストは「しっかりしなさい。いつものあなたを取り戻しなさい」と励まして下さるのだ。
 すると、ペトロが「私に命令して、水の上を歩いて御もとに行かせて下さい」と言い出す。ペトロは嬉しくて、イエスが舟まで来られるのを待つことができないのだ。この純粋な思い! ただ彼は舟から降りてはみたものの、強い風や足元に広がる海に気が付いて恐くなり、沈みかける。逆境の中でもイエスだけを見て踏み出したからこそ、彼は水の上であろうと歩くことができたのに、ふとイエスから強い風や足元の大波に目を転じた時、それまで感じることのなかった不安や恐怖に襲われてしまったのだ。だから私たちは、キリストの姿から目を離してはいけない。私たちは日常の中で、イエスのことよりも先に、自分の中の常識や世の中の価値観を思ってしまうことがある。それでは私たちは沈んでしまう。きっと、聖バレンタインもキリストだけをいつも見ていたのだ。イエス・キリストだけを見て歩んでいけば、海の上であろうと、私たちは決して沈むことはない。たとえ沈みそうになっても、キリストは必ずすぐに手を伸ばしてこの私を引き上げて下さる。私たちはそう信頼して、風が強く波が高いからこそ、イエス・キリストだけを見つめながら、嵐に波立つ海に足を下ろしてゆきたい。

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