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1月16日 メッセージより

2022/01/18(火)

2022116日 メッセージ「サケがない」より

岡嶋千宙伝道師

ヨハネによる福音書 2章 111

 「ガリラヤのカナで婚礼があって、イエスの母がそこにいた」という記述から始まる物語。通常、ここで描かれるのは、イエスの奇跡の物語と理解されます。ですが、イエスの関わりの度合いと、その前の場面設定からすると、むしろ、「イエスの母」と呼ばれる人物の存在が目につきます。他の福音書では「マリア」と個人名で呼ばれながら、ヨハネ福音書では決してその名前で呼ばれることのない「イエスの母」。彼女は、「招かれた」(1節)イエスや弟子たちとは異なり、主催する側、ホストの人間としてその場に居合わせていました。

 当時のパレスチナでは、婚礼というのは共同体全体を巻き込んだ大イベントです。イベントのホストは、集う人たち全員に十二分に行き渡る料の食べ物と飲み物を用意しておかなければなりません。なのに……酒がない! その時、「イエスの母」が一歩を踏み出しました。「ぶどう酒がありません」とイエスに語りかけた彼女は、イエスからの何とも言えない無愛想な応答を受けながらも諦めませんでした。ひょっとしたら、イエスからのそっけない応答を受けたあと、彼女は婚礼の席に居合わせた別の人たちにも「ぶどう酒がありません」と伝え回っていたのかもしれません。そして、そう言われた人たちが、それぞれに調達できるだけのぶどう酒を集めてきた、ということは十分に考えられます。一人が持ってくる量はわずかであっても、それをあわせたら、水がめいっぱいのぶどう酒になっていた。名前も記されていない一人の女性の思いによって人々の間に繋がりがもたらされ、喜びの場が継続させられたのです。

 「イエスの母」。それは、今この瞬間に、この言葉にふれているわたしたち一人ひとりです。そして、わたしたちもイエスに問われています。「私とどんな関わりがあるのです」(4節)、「その関わりのなかで、どう生きるのですか」と。生きるなかで直面する様々な困難や試練や限界に対して、あきらめて誰かのせいにし、亀裂を大きくするのか。それとも、あきらめずに、自ら動いて、動いた先で出会う人たちとの関係の輪を広げて、不確定でも望む世界へと続く道を歩み出すのか。イエスと出会い、イエスとの関わりの内に入れられ、イエスに問われているわたしたちは、一歩を踏み出すように促されています。

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