お知らせ内容
2月6日 メッセージより
2022/02/08（火）
202２年２月６日メッセージ「一粒の種に秘められた生命」より
牛田匡牧師
聖書 マルコによる福音書 ４章２６－３２節
イエス様は人々の生活に身近で、容易に連想できるもので、神の国について語りました。イエス様がガリラヤの人々と共に生きていた紀元1世紀の前半の時代は、ローマ帝国による植民地支配下にあった時代でした。「マルコによる福音書」の冒頭1章1節は「神の子イエス・キリストの福音の初め」という言葉で始まりますが、当時「神の子」と言えば、ローマ皇帝を指す言葉でした。そして「神の国」という言葉は、「神の支配」「神の支配のおよぶ領域」を表わす言葉ですから、当然それもローマ帝国の支配のおよぶ範囲を表わす言葉でした。それらが社会一般の常識とされていた時代に、イエス様は自分を神だと語る人間に過ぎないローマ皇帝ではなく、私たちすべての命の源である神にこそ目を向けて、その生命の神の恵み、福音を語りました。
本当の神の国は、軍事力で上から無理やり押さえつけ、隣の人のものを横取りして広がっていくようなものではない。むしろ、それは人間の計画や思惑を超え、自然に芽を出し、成長していく種のようなものだ。また数が多く、力が強いことで、世に支配を広げていくようなものではなく、ひと粒のからし種のように小さく、また時にはやっかい者として見なされているようなものであっても、弱く小さくされ、世の片隅に追いやられているような、そのようなものをこそ、生命の神は豊かに用いられる。目に見える力や支配に翻弄されていた人々にとって、この世の常識、価値観とは全く異なったイエス様のそれらの言葉は、地上にあって目に見える草木ではなく、地面の下にあって目に見えない根っこや、種そのものに目を向けさせるような、考え方や価値観の転換を促し、人々に希望を与えるものだったのではないかと思います。
新型コロナの感染拡大は留まるところを知らないようです。これまでも感染しないように、させないようにして来たにもかかわらず、ついに感染してしまい、落ち込んでいる人も沢山おられると聞いています。病院も保健所も完全にパンクしていて、検査も全然間に合っていませんし、症状があっても入院もできない状態が続いています。そんな状況ではありますが、いやそんな状況だからこそ、私たちは今日も地上にあって目に見える部分だけではなく、地面の下にあって目に見えない根っこの部分、すべての命の根源にあたる一粒の種と、その中に秘められた生命、命の神様からの掛け替えのない頂き物、預かりものに目を注ぎたいと思います。一粒の種に秘められた生命。それは紛れもなく私たち一人一人の中にも与えられています。そんな神様からの恵みを受けて、私たちは今日もここから導かれて歩み出していきます。
