202２年３月２７日メッセージ「闇から光が輝き出でよ」より

牛田匡牧師

聖書　コリントの信徒への手紙Ⅱ 4章 1－12節

　今回の聖書の言葉の中でも、「私たちは、四方から苦難を受けても行き詰まらず、途方に暮れても失望せず、迫害されても見捨てられず、倒されても滅びません」（8-9）という言葉は力強く、様々な行き詰まりの際に、励まされ、力づけられる言葉です。どうしてそのようなことが可能なのか、というと、それは死を超えられたイエス・キリストの命が、自分自身の中にも共に生きているからだ、とパウロは記しています。もちろん、パウロがこのような手紙を書いた背景には、パウロ自身がそれまでに受けたありとあらゆる苦難や迫害があり、行き詰まりがあり、途方に暮れ、希望を失ったことが何度もあったのだと想像します。「もうダメだ。自分はもう生きていけない」と思ったにもかかわらず、それでも尚、今も自分はこうして生きている。それは自分が自分の命を生きているのではなく、そこに神様からの命、イエス様の命が生きているから、生かされているんだということ。そこからこの確信に満ちた言葉が生まれたのではないかと思います。

　今、世界は戦争という混乱の中にあります。どこに平和に向かう出口、暗闇の中の光があるのかが分かりません。しかし、暴力に満ちた世界の中で、目の前の暴力から目を背けるのではなく、諦めて無抵抗のまま犠牲になるのでもなく、暴力で立ち向かうのでもなく、非暴力で立ち向かうこと。それは今から2000年前にローマ帝国やユダヤ社会の暴力に対して、イエス・キリストがその言葉と振る舞いを通して抵抗したことそのものでした。私たちがイエス・キリストと共にあって、共に生きるとは、その死も命も共にしているということです。だからこそ「長い物には巻かれろ」ではなく、事実を見ないように目を背けるのでもなく、どこに神様の御心があるのか、どこに平和を造る道があるのかを探したいと思います。

　「闇から光が輝き出でよ」（６）と言われた神は、この八方ふさがりにも見える世界に、暗闇に思える中に光を創り出されます。また私たち一人一人の心の中にも光を灯してくださいます。だからこそ土の器に過ぎない私たちは、その与えられた命を自分のためだけに生きるのではなく、神様のために生きる者へとされていきます。この狂った世界の中で、戦争という暴力、命の傷つけ合いが一刻も早く収められるように、そして平和を創り出していくことが出来るように、私たちは今日もここから導かれていきます。