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6月26日 メッセージより

2022/06/28(火)

2022年6月26日メッセージ「本当に価値のあるもの」より

牛田匡牧師

聖書 使徒言行録 1616-24

 大都市には格差と搾取による貧困が付きものです。今回のお話は、パウロたちがフィリピという大きな町で出会った一人の女性とのお話でした。この女性は占いの霊に()りつかれていて、いわゆる「神がかり」の状態になって、神からのお告げを伝えるという商売をしていました。いや正しくは奴隷として、何人もの主人たちから使役され、占いの仕事をさせられていました。その女奴隷は、何日間もパウロたちの後ろをつきまとい、叫び続けたので、パウロはたまりかねて、その霊を追い出しました。その結果として、パウロたちは金儲けの手段を失ったその女奴隷の主人たちから憎まれ、「町の治安を乱している、ルール違反もしている」と言って訴えられて、責められ、(むち)打たれ、牢屋に投獄されました。なお、聖書には記されていませんが、この霊を追い出してもらった当人は、パウロたちよりも更にひどい虐待を、主人たちから受けたのではないでしょうか。「ご神託によって金儲けができたのに、それがなくなったら何の役に立つのか。なんて勝手なことをしたんだ」……。おそらく彼女自身も、またパウロたちも、そうなることは分かっていたでしょう。それこそ彼女にしてみたら、占いの働きをしている限り、とりあえず今日の暮らしは確保されるという状態だったかもしれません。しかし、それでも彼女はそこから立ち上がり、一歩を踏み出し、解放されることを望みました。そしてパウロもまた自分たちが迫害されることを覚悟の上で、彼女から占いの霊を追い出しました。そこにあったのは、目の前の暮らしを続けることに固執するのではなく、自分自身の命、魂が束縛から解放されて、神様が創られたままに自由に生きられるようになるためには、どうしたらよいか、ということを最優先して考えた、ということだったのではないかと思います。

 私たちが今、日々の暮らしの中で当たり前に従っている考え方や、大切にしている価値観とは何でしょうか。実はそれらは主体的に選択しているのではなく、一つの立場に束縛されて、逃げ出せなくなっているだけかもしれません。「本意ではないけれど、立場上こうするより仕方なかった」……。よく耳にする表現かもしれませんが、そんな私たちの命を「命として生きられなくさせているもの」、それを「罪」と言うのではないでしょうか。「あなたは何に従って生きていますか」「本当に価値のあるものは何ですか」……。「本物」や「正解」が見つけにくい現代ですが、私たちはイエス・キリストの言葉と振る舞いを道しるべとしながら、「本当に価値のあるもの」を求め続ける歩みを進めて参ります。

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