お知らせ内容
6月18日 メッセージより
2023年6月18日メッセージ「信頼をもって歩みを起こす」より
牛田匡牧師
聖書 ルカによる福音書 8章 40-56節
今回のお話は癒しの奇蹟のお話でした。これらのお話が現代を生きる私たちに告げていることは何でしょうか。今でもなお不治の病は沢山あります。長年、信仰生活を送り、熱心にお祈りをしている人が、病気にもかからず、事故にも遭わないかというと、そうとも限らないのが現実です。このお話の中で重要な点は、長年病気に苦しんで来た女性が、単に心の中で願っただけではなく、実際に行動を起こしたという点でした。それまでずっと病いのため穢れている存在として、周りから排除される側に立たされていた彼女が、自らの判断と行動で歩み出し、イエス様の服の裾にしがみついた時に、彼女自身の身に変化が生じ、奇蹟が起こりました。
もう一つの点は、お互いに「しがみつき」「手を取り」「手当て」をしたという関係性です。私たちは大勢の人の中にいても孤独を感じることがあります。彼女たちの周りにも多くの人々がいましたが、直接彼女と触れ合い、心を通わせるような人はいなかったのでしょう。そのような中、イエス様は直接、彼女の手を取り、呼びかけられ、彼女を引き起こされました。クリスマスに私たちと同じ無力な赤ちゃんとして生まれたイエス様がなさったことは、やろうと思えば誰にでも出来る普通なことでした。でもそこに不思議なことに奇蹟が生じたのです。
今もなお、私たちは様々な病気に苦しみ、事故や災害に思い悩んでいます。大きな喪失や不安を抱える中で、時には「こんなに苦しい中、死んだ方がマシだ」と思ったり、「これまでの自分は失われ、死んでしまった」と思ったりするがあります。しかし、たとえそのような時でも、誰か自分の手を取ってくれて、心から耳を傾けて話を聴いてくれて、一緒に歩んでくれる同伴者がいてくれれば、私たちはそれまでの役割や立場から解放されて、それらを乗り越えて、新しい自分、新しい命、新しい人生を歩み出して行くことが出来ます。そしてふと振り返ってみた時に、今の命が与えられているということ、隣り人たちの中に、今生かされているということ自体が、紛れもない一つの奇蹟なのだということに気付くことが出来るのではないでしょうか。全ての命を創られた神様が、いつも一緒にいてくださるということ、私たちは神様の中に生かされているということに信頼して、小さな一歩から、信頼をもって歩みを起こしてみること。その中で、私たちは今も生きておられるイエス様と出会い、日々に小さな奇蹟と出会っていきます。