お知らせ内容
10月15日 メッセージより
2023年10月15日 メッセージ「天国はどこにありますか」より
牛田匡牧師
聖書 ルカによる福音書 17章 20-37節
「人は死んだらどうなるの?」という質問に対し、「天国に行くんだよ」と答えることは少なくないのではないかと思いますが、そこで想像している「天国」とはどのようなイメージでしょうか。きっと美しく穏やかな楽園のイメージではないでしょうか。それは言い換えれば、いつの時代でも人間が生きている現実世界が、自然災害や戦争、また貧困や差別、圧政などの様々な困難にあふれているからこそ、「死んだ後にはそれらから解放されて楽になりたい」という願いが形となったものかもしれません。それは今から約2000年前のイエス様の時代も同様でした。古代ローマ帝国の暴力によって支配されていた人々は重税に苦しめられ、生産物のほとんどを取り上げられていました。そのような厳しい生活から解放され、皇帝の支配ではなく、神の支配(神の国)が到来することを人々は待ち望んでいました。今の世界が終わりを迎え、神の国(天の国)が実現するには、どのような予兆があるか、また神の国はどこにやってくるのか、人々はイエス様に質問しました。しかし、イエス様の答えは、期待していたものとは異なりました。
何か普段とは違うことが起きると、それは世界が変化する予兆だと考えられましたので、人々は夜空に彗星が見えないかとか、地震が起きないかとか、様々なことを観察していたと思われますが、イエス様は「神の国は観察できるような仕方では来ない。また『ここにある』とか、『あそこにある』と言えるものでもない」「もうすでに来ている。あなた方の中、すなわち私たちの中にもう来ている」と言われました。例えば、日々の農作業の中で、畑に蒔いた種が発芽し、生長して、やがて実を結ぶ命の不思議、そのような現実それ自体が、まさに神様の働き無しには決してあり得ないことであり、神様の支配、神様の力の及んでいる世界そのものではないか、ということです。「天」というと空の上を連想するかと思いますが、「天」とは、遥か上空、宇宙空間のどこかという意味ではなく、「目に見えない神様の働かれている所」という意味です。命の創り主である神様は、生きとし生けるもの全ての命と共に在ります。また造られたこの世界の全ては神様の存在を示しています(詩編19編)。神様の力、働きの及ばない所はどこにもありません。神の国は私たちの間に、足下にもう来ています。そのことを覚えて、隣り人と共に今日も歩みを進めていきます。