2023年１２月24日　クリスマス礼拝メッセージ「夜通し働くあなたへ」より

水谷憲牧師

聖書　　ルカによる福音書　２章 1－2０節

　キリストは、いわれのない侮辱を受け誤解されのけ者にされている人々に目を留め、寄り添われた方だった。聖書によると、その救い主の誕生を初めに知らされたのは羊飼いたち。彼らは当時軽蔑の対象とされていた人々だった。彼らは真面目に一生懸命生きているようには見てもらえていなかった。彼らは昼夜問わず羊の世話に追われていたために、当時の律法の定める「正しい」生活などできようもなかったのに。当時の人々の生活に密着した重要な家畜である羊を、寝る間もなく飼い育てているにもかかわらず、彼らは誰からも感謝されるどころか、楽な仕事だ、不規則な生活をして神に背いている、しょーもない奴らだなどと侮辱されていたのだ。

　そんな「夜通し働く」羊飼いたち――それは、誰にも気付かれず、誰にも感謝されることもないままに自分を犠牲にしている私たちの姿とも重なる――が天使から知らせを受ける。世の中すべての人があなたを理解せず、感謝することもなく、むしろあなたの落ち度をあげつらって責め、陰口を叩き、あるいはあなたの存在を無視しようとも、私だけは知っている。あなたがどれほど自分の気持ちを押し殺しながら一生懸命人のために身を削っているかを。私だけは知っている。周りから誤解されていることであなたがどれほど傷つき、悔しい思いをし、涙を飲んでいるかを。私だけは知っている。一生懸命仕事をしても、一生懸命家事をこなし子育てをしても、一生懸命誰かのお世話をしても、誰かの相談を誠実に受けても、評価されるどころか、そんなこと当たり前だろと思われる。むしろ足りなかった点ばかりやり玉に挙げられる。自分がいかに多くのものを犠牲にして努力していても、誰もその笑顔の裏にあるしんどさに気づいてくれない。そんなあなたのために、今日救い主がお生まれになったよ！

　クリスマスに生まれたキリストは「あなたのことを神様は見ている」ことを示すため、神様が下さった宝物。クリスマスは、私たちの隠れた痛みや悲しみをわかって下さる救い主、キリストが生まれた日。そして隠れた痛みや悲しみを抱えながら毎日を送るそんな私たちにこそ、真っ先に天使たちはその喜びの知らせを持ってきてくれるのだ。神様が「夜通し働く」私たちに、真っ先に知らせてくれた救い主の誕生を、私たちは喜んで受け止め、優しい気持ちでうれしいクリスマスを迎えたい。