202４年４月21日メッセージ「歩みよる神。かつても今もこれからも」より

牛田匡牧師

聖書　　ヨハネによる福音書　　２１章１５－２５節

　今回の聖書のお話しは「ヨハネによる福音書」の巻末から、復活されたイエス様とペトロのお話でした。イエス様はペトロに「あなたは私を愛しているか」と3回尋ね、ペトロは「はい、主よ、私があなたを愛していることは、あなたがご存じです」と答えました。しかし、3回も同じ質問をされたので、ペトロは悲しくなったとあります。よっぽど自分の返答が信用されていなかったのかと感じたのでしょうか。かつてペトロは「たとえ殺されることになっても、イエス様の行く所に自分もついて行きます」（ヨハネ13：37）と公言していましたが、実際にイエス様が逮捕された時には、「あなたも仲間の一人じゃないか」と声を掛けられながらも、「あんな人は知らない」と3回もイエス様のことを否定してしまいました（18章）。ここでイエス様から、3回に亘って「私を愛しているか」と問われたペトロは、かつての自分を思い出して、悲しくなったのではないでしょうか。

　もう一つ気になるのは、イエス様とペトロの言葉の違いです。元々のギリシャ語では、イエス様は「私をアガペーしているか」と問いかけ、ペトロは「はい、フィリアしています」と答えています。現代日本語でも「愛する」と「大好き」という言葉は、あまり区別なく使われているように思いますが、ペトロが一貫して「フィリアしています」と答えているのに対して、イエス様は始めの2回は「アガペーしているか」と問いかけているのに、3回目にはペトロに合わせて「フィリアしているか」に言葉を変えています。これは「フィリアしています」としか答えられないペトロに対して、イエス様の方から歩み寄って来られ、そのままのペトロを受け入れてくれたように読めるのではないかと思います。

　隣の人たちを、大切にしたいと思いながら、最も身近にいる同居の家族に対してすらも、大切にすることができないことの多い私たちです。私たちがそんな弱さや限界を抱えているということも、神様は全て分かった上で、それでも神様の方から、かつても今もこれからも、いつでも私たちの方に歩みよって下さっています。そして「私に従いなさい」と言われるイエス様に背中を押されて、今日も私たちは、イエス様の後に従う道へと歩み出して行きます。