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5月12日 メッセージより

2024/05/17(金)

2024年5月12日メッセージ「独り立ちの準備」より

水谷憲牧師

聖書  列王記 下 2章 1-15節

 旧約聖書の預言者エリヤとその後継者エリシャの別れの日。各地の預言者仲間へ最後の挨拶に回るエリヤにエリシャは「私はあなたを離れません」と繰り返す。最後にエリヤが「私があなたの元から取り去られる前に、あなたのために何をしようか」と尋ねると、エリシャは「あなたの霊の二倍の分け前を私に受け継がせてください」と願う。別れが避けられないものであるなら、せめてエリヤの長子としてのしるしをいただかなければ、という強い思いがあったのかもしれない。「むずかしいこと言うなぁ」とぼやいたエリヤが「私があなたのもとから取り去られるのをあなたが見れば、願いはかなえられる。もし見なければ、願いはかなえられない」と話していると、火の戦車が火の馬に引かれて現れ、エリヤは嵐の中を天に上って行った。別れというものは私たちの想像を超えて、あまりに突然に訪れる。エリシャは今回、突然だったとはいえ、エリヤとの別れに何とか立ち会うことができたが、大事な人との別れに立ち会うことができなかった人はどうなるのか。せめて愛する人との絆をいつでも再確認できるようなしるしがほしいという願いはかなわないまま、その後も続く人生を送っていかねばならないのか。

 先日、「すずめの戸締り」という映画を見た。幼い頃に東日本大震災で母を亡くした主人公の女性。母の死に目にも会えず、ご遺体も出てこなかったため母との別れをきちんと経験することができなかった。そんな彼女がいろんな人との出会いや不思議な出来事によって自分の心の傷を少しずつ癒して乗り越えてゆくという成長物語であったように思う。愛する者ときちんとお別れができなかったから、その後の人生は後悔ばかりの暗い人生になってしまうかというと、そんなことは決してない。時間はかかるかもしれないが、その痛みは時間と共にきっと癒されていくし、愛する人との絆をいつでも感じていたいという願いもきっと叶う。きっといつか私たちは、愛する人との絆をいつも感じながら、独りで立って歩いてゆける時が必ず来ることを信じたい。

 先週の昇天日から、弟子たちに聖霊が降されるまでの空白の期間、それは言わば「独り立ちの準備」の期間と言えるかもしれない。きっと私の上にもキリストは約束の聖霊を降ろし、そのような形でキリストはいつも共にいてくださるのだと、希望をもって歩んでいきたい。

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