お知らせ内容
6月16日 メッセージより
2024年6月16日 メッセージ「幸せなら手をたたこう」より
牛田匡牧師
聖書 ミカ書 4章 1-7節
皆さんにお馴染みの「幸せなら手をたたこう」という歌が、いつ、誰によって作られたかをご存知の方は、どれくらいおられるでしょうか。この歌は、1934年生まれの木村利人さんが、大学生の時に作られた歌なのだそうです(『漫画 幸せなら手をたたこう誕生物語』(西岡由香著・いのちのことば社))。彼は1959年の夏に国際ワークキャンプで滞在したフィリピンで、日本人が歓迎されない背景に、戦争中に日本軍が行った残虐な行為があることを初めて知り、その罪責感に悩みながらも、「手を打ち鳴らし、喜びの声を上げ、神に向かって叫べ」(詩47:2)という聖書の言葉と出会い、フィリピンの方々に対する謝罪の思いを、心の中で思っているだけではなく、自分の態度、行動で実際に示して行かなければ伝わらないということに気が付いたのだそうです。それからの彼の人一倍の働きを見て、現地の人たちからも赦され、やがて受け入れられるように変わっていったのだそうです。その体験に基づき、この「幸せなら手をたたこう」という歌は、当時のフィリピンの子どもたちが遊びながら歌っていた曲に、木村さんが歌詞をつけ、全ての人が赦し合い、共に生きることができるということを歌にしました。そして5年後の1964年には、口づてに拡がっていたこの歌を気に入った歌手の坂本九さんが、この歌を作者不明のままレコードとして発売し、全国に拡がったのだそうです。
今回の聖書の言葉「剣を鋤に/槍を鎌に打ち直す」は、国連本部の前の碑にも刻まれている程に、世界の平和を象徴する有名な言葉です。しかし、預言者によってこれらの言葉が語られた当時の実際は、国内では内乱、外国からは攻められるという崩壊寸前の社会情勢でした。いつ襲われるかもしれないから、戦いに備えよと言われ、とても安心などしていられない。弱い人々は次々と見限られ、見放されて行く……。そのような現実があったからこそ、預言者は世界の平和が完成される希望を語りました。たとえ、非現実的、絵空事と言われたとしても、人と人とは対立し、憎しみ合うだけではなく、過去の過ちを越えて赦し合い、共に歩むこともできる存在です。この「幸せなら手をたたこう」という歌は、その事実を教えてくれています。私たちは共に平和を創り出しながら生きていけるということを、それぞれの身をもって、行動で表わし、態度で示して行く歩みへと、今日もまたここから導かれて行きます。